会長挨拶
第41回日本産婦人科手術学会
会長 三上 幹男
東海大学医学部専門診療学系産婦人科

第41回日本産婦人科手術学会を平成31年2月2日(土)・3日(日)の2日間にわたり、東京都市センターホテルにおいて開催させて頂くことになりました。

今回のテーマは「若手への伝承―心・技・体―」とし、またホームページの冒頭・パンフレットは、東海大学医学部付属病院より毎日眺めている神奈川県の名峰、雪の「大山」に上る朝日といたしました。

私がフレッシュマンとして慶應義塾大学病院に勤務を始めたのは昭和59年5月、今から約33年前になります。その時ある先輩に「君たちは今、山のふもとに何も持たずに立っている。これからあの山の頂上を目指し一歩一歩確実に前進しながら登っていくんだ。人生が進めば守らなくてはいけないものがどんどん増えていく、そんな自分の人生の中で患者を助けるためにいろいろな面での努力をしていかなくてはいけない。努力なくしては山の頂上まではたどり着けないぞ。頑張ろう。」と言われました。産婦人科の臨床を極めるのは、山登りと同じで、一歩一歩自分の人生を歩みながらかついろいろな努力をしていかなくては一人前にはなれないぞ、という私たちの前にあるこれからの医師人生への激励ということで頂いた言葉だと思っています。思い出してみると、今まで会陰切開縫合術からはじまり広汎子宮全摘出+傍大動脈リンパ節郭清、骨盤臓器全摘出術までいろいろな手術をしてきました。本当に怖い思いもしてきました。いつも皆でチームのおかげで乗り越えられてきたと思っています。今は、鏡視下手術、ロボット手術と、その当時には全く想像も出来なかったような時代になってきています。手術は、一朝一夕で出来るようにはなりません。技術をつけるための努力だけでなく、気持ち、チームワークなどいろいろなものが必要です。若いころは、手術を見学し、自分の執刀した手術を反省し、当直室で先輩の話を聞きながら初陣の時には手術のシャドウトレーニングを何度も何度も繰り返しながら学んできたように思います。今の鏡視下手術の時代にはsimulatorやtraining boxがあり実践的な練習が可能ですので、その時とは違った形でのトレーニングになってきていると思います。しかし手術に関する心・技・体に関しては、今も昔も必ず通じるものがあると思います。今回の手術学会ではいろいろな面で「若手に伝承」していくことを中心に、聞いてためになる議論できる会にしていきたいと考えています。是非、有意義で熱い学会にするべく、皆様の演題提供を賜りますようにお願いいたします。